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音が良いと言われるMQAの音質をPCMと比較してみた!

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CDに入っているデジタル音源はPCM方式でエンコードされていて、サンプリング周波数が44.1KHz、振幅方向の量子化ビット数が16bitと決まっています。

これに対して、サンプリング周波数をもっと高くし、振幅方向の量子化ビット数も増やしたデジタル音源はハイレゾ(High-Resolution)音源と呼ばれ、CDに入ってるデジタル音源に比べるとデータ量が多くなり、高精細な音が再生できます。

ひろ
ひろ
要するに、CDよりもハイレゾの方がアナログの音に近付くということですね。

ハイレゾ音源としては、CDに入っている音源と同じく、PCM方式でサンプリング周波数や振幅方向の量子化ビット数を増やしたものがありますが、デジタルデータのサイズも大きくなってしまい、保存するファイルサイズが大きくなったり、通信による伝送時間が長くかかったりしてしまう弊害があります。

ハイレゾのPCM音源としては、例えば96kHz/24bit、192kHz/24bit、384kHz/24bitなどといったものがありますが、サンプリング周波数を高くしても音質向上効果が頭打ちになってしまうという問題もあるようです。

これに対して、MQAというPCMとは異なる方式のハイレゾ音源が提供されています。

MQAはハイレゾでありながら、CDに入っているPCM音源と同じデータ容量に圧縮できるという特徴があります。

今回は、このMQA音源とPCM音源でどのような音質差があるのかを試してみましたので、紹介します。

MQAが音が良い理由を考察!

MQAは“Master Quality Authenticated”(マスターの品質(音質)の保証)の略で、イギリスのボブ・スチュアート達が開発した技術です。

MQAがPCMよりも音質面で優位と考える理由は以下の3つです。

・人間の聴覚特性では、時間的な感覚が周波数に対する感覚より鋭敏である
・PCMの時間解像度に対してMQAの時間解像度が2桁ほど高い
・PCMではAD変換やDA変換で使われるフィルタによって時間のボケが増加する

マスター音源の音質を高忠実度でデジタル伝送するために、MQAは特に時間領域の特性を重視しているのです。

人間の聴覚は、年を取ると高い周波数の音が聞こえにくくなりますが、時間的な敏感さは年齢では変わらないそうです。

MQAでは時間軸の精度を上げるために、高いサンプリングレートの信号を扱いますが、独自の圧縮技術を使うことによって、音質を劣化させずにデータ量を削減しているのも特徴です。

ミキ
ミキ
高精細化によるデータ量の増加を圧縮技術で削減しているんですね!

MQA音源の再生環境

MQAはTIDALのストリーミング配信の音源として採用されていますが、TIDALは日本ではまだサービスを開始していません。

ただ、MQA音源を再生できるデコーダーを搭載したDACやネットワークプレーヤーなどがいくつか販売されていますので、これらの機器の中から選んで導入することにしました。

これまで、ハイレゾ音源はファイルのダウンロード販売で購入していましたが、今後は高品質のストリーミングサービスが開始されることも期待できます。

近い将来のストリーミング利用も考慮して、今回iFi AudioのNeo Streamというストリーマー(ネットワークプレーヤー)を導入することにしました。

Neo Stream

このストリーマーを使うことにした主な理由は以下のとおりです。

・MQA、DSDを含む主要なハイレゾ音源の再生が可能
・電源、ネットワークの低ノイズ対策を徹底
・主なストリーミングサービスやDLNAによるネットワーク再生に対応

DLNAという標準化された方式に対応しているので、NASに保存したハイレゾ音源やCDをリッピングした楽曲ファイルを同じような操作で選曲して再生することができ、使い勝手が良いのが魅力です。

選曲や再生、停止などの操作はiPadにインストールしたfidata Music Appというアプリで行います。

このアプリは、再生楽曲の選択だけでなく、サーバーや再生機器の切り替えも行えるようになっているのが特長で、使いやすいと思います。

ひろ
ひろ
Neo Stream本体で楽曲選択はできないんですね!

試聴用MQA音源とPCM音源

試聴用音源としてダウンロード購入したカラヤン指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団のザ・ベスト・オブ・マエストロを使います。

元々はPCM録音の音源ですが、それをMQAに変換したものも販売されていたので、比較するために両方を入手しました。

収録されている曲は以下の13曲で、どちらもFLACの96kHz/24bitフォーマットですが、片方はMQAでもう一方はMQAなし(PCM)となっています。

(01)モーツァルト アイネクライネナハトムジークの第1楽章

(02)モーツァルト 交響曲第40番の第1楽章

(03)ヴィヴァルディ「四季」

(04)ワーグナー ローエングリン 第3幕前奏曲

(05)チャイコフスキー 交響曲第5番 第3楽章

(06)チャイコフスキー 白鳥の湖から白鳥のテーマ

(07)ヨハン・シュトラウス ラデツキー行進曲

(08)ヨハン・シュトラウス トリッチ・トラッチ・ポルカ

(09)レスピーギ ローマの松 1曲目

(10)ビゼー アルルの女 第2組曲 ファランドール

(11)ビゼー カルメン第1組曲 4曲目 第1幕前奏曲

(12)マスネ タイスの瞑想曲

(13)ベートーヴェン 交響曲第9番 第4楽章

ミキ
ミキ
元は同じ音源なので、そんなに違いはないのでは?

MQAとPCMの比較試聴結果

それぞれの曲での音質比較結果を説明します。

・モーツァルト アイネクライネナハトムジーク第1楽章
MQA:音のエッジが立った感じがしました。
PCM:音の輪郭が少しボケた感じがしました。

・モーツァルト 交響曲第40番第1楽章
MQA:オーケストラの強奏部で少しうるさい感じがします。
PCM:フォーカスが甘く、楽器の分離がやや悪いように聞こえました。

・ヴィヴァルディ「四季」
MQA:バイオリンの音が滑らかで艶があります。楽器の周辺の余韻がよく聞こえます。楽器の音像が立体的な感じです。
PCM:楽器の分離は良いですが、音像が平面的です。

・ワーグナー ローエングリン 第3幕前奏曲
MQA:金管楽器の音に厚み、力強さがあります。木管楽器の音の柔らかさがよく出ています。バイオリンの音の滑らかさが素晴らしいです。
PCM:MQAとの違いが少なく、はっきりした差が感じられません。

・チャイコフスキー 交響曲第5番 第3楽章
MQA:音のエッジがシャープで音の分離が良いです。
PCM:楽器の音像が少し膨らんだ感じがします。

・チャイコフスキー 白鳥の湖から白鳥のテーマ
MQA:ヴァイオリンがしなやかで、低弦は力強い鳴り方をします。
PCM:全体的にフォーカスが甘い感じの音。

・ヨハン・シュトラウス ラデツキー行進曲
MQA:音像が立体的で、厚みが感じられます。
PCM:音が平面的で全体にやかましい感じがします。

・ヨハン・シュトラウス トリッチ・トラッチ・ポルカ
MQA:バイオリンの松ヤニが飛び散るような感じが良く出ている。打楽器の音がクリアな感じ。
PCM:音像が奥に引っ込んだ感じがします。ソフトタッチな音に聞こえます。

・レスピーギ ローマの松 1曲目
MQA:フォーカスがピシッと会った感じの音。オーケストラが立体的で奥行きが感じられます。
PCM:フォーカスの甘い音に聞こえます。

・ビゼー アルルの女 第2組曲 ファランドール
MQA:フォーカスの合った感じの音で、弦楽器の音にしなやかさ、艶があります。
PCM:音のフォーカスが甘く、音がやや混濁した感じに聞こえます。

・ビゼー カルメン第1組曲 4曲目 第1幕前奏曲
MQA:バイオリンの音に切れが感じられます。打楽器の余韻が生々しいです。
PCM:全体的にソフトフォーカスな感じの音に聞こえます。

・マスネ タイスの瞑想曲
MQA:弦楽器の合奏に厚みが感じられます。バイオリンの独奏はやや乾いた感じの音です。
PCM:バイオリンの独奏はソフトな感じがします。強奏部ではややノイズっぽい音に聞こえます。

・ベートーヴェン 交響曲第9番 第4楽章
MQAとPCMで差があまり感じられませんでした。

ひろ
ひろ
あまり違いがわからない曲もありますね!

まとめ

全体的な音の傾向をまとめますと以下のようになります。

MQA:
・フォーカスがシャープな感じで、楽器の音の輪郭やその周辺の余韻が良く聞き取れる
・音像が立体的な感じで、奥行方向の厚みも感じられる

PCM:
・フォーカスが甘く、全体的にボケたような音に聞こえる
・音像が平面的で、奥行方向の厚みはあまり感じられない

MQAの魅力は、フォーカスの合った輪郭のはっきりした音で、細かな余韻や立体的な距離感も良く表現できるところではないでしょうか。

MQA音源がさらに充実してくれることを期待したいと思います。

ひろ
ひろ
MQA-CDも発売されていますが、種類が少ないですね!